交通事故② 入通院に伴う費用(入院雑費,通院交通費など) 

1 入院雑費
入院雑費とは,入院に際して必要となる様々な費用の総称であり,テレビカード代,おむつ代等が含まれます。
自賠責保険基準では,入院1日あたり原則1,100円と定められています(2020.4.1時点)。一方,裁判では,一般的に入院一日あたり1,500円と認定されます。いずれの場合も定額化されているため,個別の領収書などによる立証の必要はありません。もっとも,おむつ代の支出などがかさみ上記金額を上回る支出がある場合,領収書などにより上記金額を上回る支出を立証できれば,実際に支出した金額を請求できる可能性があります。
2 付添費
⑴ 入院付添費
入院中の付添の必要が認められる場合,付添人の費用を請求することができます。近親者付添人が付き添った場合の入院付添費の相場は,自賠責保険基準で4,200円/日(2020.4.1時点),裁判基準では6,500円/日程度とされています。症状が重く日常生活の制約が大きい場合や,被害者が幼児や児童である場合には,入院付添の必要性が認められる可能性があります。いわゆる完全看護態勢をとっている病院であっても,一概に付添の必要性が否定されるわけではなく,個別の事情で付添の必要性が肯定されることもあります。
⑵ 通院付添費
足の骨折により歩行に支障がある場合や,被害者が幼児・児童である場合など,通院付添の必要が認められる場合には,通院付添費を請求することができます。近親者が付き添った場合の付添費の相場は自賠責保険基準で2,100円/日(2020.4.1時点),裁判基準では3,300円/日程度とされています)
3 通院交通費
通院のために必要となった交通費(公共交通機関の利用料,自家用車のガゾリン代(15円/1km),病院の駐車場代,タクシー代)は,合理的な範囲で請求することができます。もっとも,タクシー代については,怪我の程度などから他の交通機関(自家用車,公共交通機関)での通院が困難な場合に限り認められることになります。
近親者の通院付添費が認められる場合,付添人の交通費についても請求することができます。
4 学生などの学習費・保育費・通学付添費
学生が入院などのために留年した場合など,交通事故のために追加で必要となった授業料等の学習費についても請求することができます。
また,子育て中の保護者が受傷して子どもの保育ができなくなった場合,必要となった保育所利用料などについても請求することができます。
通学のための付添が必要となった場合の付添費用も,一般的に請求することができるとされています。

 

弁護士 上野 直生

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