交通事故の自覚症状と他覚症状 

 交通事故の後遺障害の認定をしてもらう際に,医療機関の所見(診察した医師による判断や意見。)が必要になりますが,所見は大きく分けて自覚症状と他覚症状に区別されます。
自覚症状とは,体の痛み,痺れのように,被害者がご自身で感じている症状を言います。この自覚症状を他覚所見(医師が視診,触診や画像診断などによって症状を裏付けることができるもの)で裏付けることが後遺障害等級認定上重要となってきます。
後遺障害等級の12級13号と14級9号は「局部の神経症状」を対象としますが,このうち12級13号の認定を受けるためには、症状が「他覚的に証明できること」が必要とされますが,これは他覚所見と同義です。
体の痛み,痺れ,機能障害などは末梢神経障害と言い,その症状自体を視覚的に(目で見るということ)捉えることはできないため,各種の検査方法で視覚化,つまり他覚所見として使えるようにする必要があります。
そのような検査方法の例としては,徒手筋力テスト(MMT)、感覚(触覚・痛覚・温度覚など)検査、筋電図検査・神経伝導速度検査などの電気生理学的検査などがあります。
これらの検査方法は,医療機関によって実施の可否が異なり,さらに検査にあたる技師の熟達度も考慮する必要があります。また,費用面の検討も必要になります。
これらの検査方法のいずれを選択すべきかも含め,他覚所見を得る際の対処方法についてもぜひ弁護士にご相談することをお勧めします。

弁護士 天久 泰

関連記事はこちら