交通事故④ 休業損害(休業日数,退職・解雇事例) 

1 休業損害とは

休業損害とは,被害者が交通事故により負った怪我の治療が終了するまでの間に,怪我や療養のために十分に働くことができなかったことにより生じる収入の喪失です。

休業損害は,一般的に以下の計算式により算定されることになります。

基礎収入日額 × 休業日数 = 休業損害

※ 基礎収入日額については,「交通事故③ 休業損害(基礎収入の認定方法)」の記事でご紹介しています。

 

2 休業日数

⑴ 一般論

事故日から症状固定(※)日までの間に,療養のために実際に休業した日数が休業日数とされます。

※症状固定とは・・・

療養の効果が期待できない状態となり,症状が固定した状態です。

もっとも,休業すれば無条件で休業損害の発生が認められるわけではなく,受傷状況,治療状況及び被害者の業務内容(体を動かす業務の有無など)に応じて,相当と認められる範囲で,休業損害は認定されることになります。

⑵ 有給休暇

通院治療などのために有給休暇を取得した場合,収入の減少はありませんが,治療のために有給休暇を使用せざるを得なくなったことになるため,休業日数に含めることが可能です。

⑶ 家事労働

家事労働者の場合,療養のために一部の家事を行うことができなくなることがあります。このような場合には,家事に制限を受けた限度で休業損害が認められることになります。

裁判においては,治癒の状況に応じて,事故日から症状固定日までの期間において,徐々に休業損害が小さくなる(家事の支障が小さくなる)という認定方法(逓減方式)が採用されることもあります。

 

3 事故による受傷が原因で退職したり解雇されたりした場合

交通事故により負った傷害あるいは療養のための休業が原因で,退職せざるを得なくなった場合や解雇された場合,事故日から退職・解雇までの期間の収入減少が休業損害と認定され得ることは上述のとおりです。

それにとどまらず,退職・解雇から症状固定までの間における収入減少についても,事故との間に相当因果関係が認められる場合には,賠償請求が認められることになります。

4 最後に

休業損害の正確な算出には専門的な知識が必要となることもありますので,弁護士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。

関連記事はこちら