コラム
交通事故⑬ 損益相殺
1 損益相殺(そんえきそうさい)とは 交通事故によって被害者に損害が発生すると共に利益が生じる場合に、被害者の損害額から得られた利益を差し引くこと(「控除(こうじょ)」といいます。)を損益相殺といいます。例えば、被害者が加害者から見舞金、公的保険給付、自動車保険からの給付などを受けた場合に問題となります。 一般的に、損害の公平な分担という目的から、このような処理が認められることになりま 続きを読む >>
交通事故⑭ 人身傷害保険
1 人身傷害保険とは ⑴ 特徴 人身傷害保険とは、自動車事故によって傷害を負った被害者が、加害者の賠償責任の有無にかかわらず、自ら加入する保険契約に基づいて保険金の支払いを受ける保険です。加害者加入の対人賠償保険や対物賠償保険と異なり、自身で加入する保険会社に対して保険金の請求を行うことになります。この人身傷害保険の加入率は約7割程度といわれていますが、自身が人身傷害保険に加入している 続きを読む >>
交通事故解決事例 「治療費支払い打ち切り事例への対応」
1 事故状況 信号機の設置されていない交差点における歩行者と自動車の衝突事故です。歩行者である依頼者が、自動車が停止線で停止していたため横断を開始したところ、突然自動車が動き出して左折を開始したため、自動車左前部と歩行者が衝突したというものです。 2 事故後の経過 ⑴ 治療費支払いの打ち切りとその後の対応 依頼者は、保険会社の代理人弁護士からの連絡で、事故から約3週間で治療費の支払いの 続きを読む >>
交通事故⑫ 素因減額
1 素因減額とは 被害者が事故前から有していた事情(これを「素因」といいます。)が損害の発生や拡大に影響している場合に、賠償金の算定においてそのような事情を考慮して、賠償金の額を減額することを素因減額といいます。 賠償金の算定で考慮されうる素因は、「身体的素因」と「心因的要因」の2つに分けられます。 2 身体的素因 ⑴ 最高裁平成4年6月25日判決 【事案】 事故前から一酸化炭素中毒 続きを読む >>
交通事故⑪ 過失相殺
1 過失相殺とは 民法は,不法行為に関する章において,「被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています(722条)。この,損害賠償額算定において被害者の過失を考慮することを,「過失相殺」といいます。そして,交通事故に関する損害賠償請求においても,この過失相殺が行われることになります。 過失相殺を行うためには,被害者に責任能力( 続きを読む >>
交通事故コラム 治療打ち切りへの対応
1 交通事故に関する治療費の支払い 交通事故被害に遭った場合,こちらの過失がそれ程大きくなければ,事故の相手方(ここでは便宜的に「加害者」といいます。)が加入する任意保険会社(以下単に「任意保険会社」といいます。)が治療費を支払ってくれます(これを「一括払い」といいます)。 2 任意保険会社による治療費の支払い打ち切り 怪我の状況にもよりますが,早ければ事故から1~2か月後には, 続きを読む >>
交通事故⑩ 傷害慰謝料・後遺障害慰謝料
1 傷害慰謝料 ⑴ 傷害慰謝料とは 傷害慰謝料とは「入通院慰謝料」とも呼ばれるもので,交通事故によって負ったけがの治療のための入通院期間に応じて支払われる賠償金のことです。交通事故によって怪我を負い,入院や通院を余儀なくされたことについて支払われる慰謝料(精神的損害に対して支払われる賠償金のこと。)です。 ⑵ 傷害慰謝料の基準 傷害慰謝料の基準として,いわゆる「赤い本」と呼 続きを読む >>
交通事故⑨ 家屋改造費,定期的な交換が必要な物品
1 家屋改造費など 重度後遺障害を負った被害者が,自宅内における移動などのために行った自宅改造費(リフォーム費用)は,その必要性が認められれば,相当額の賠償が認められることになります。例えば,バリアフリー化に必要となる玄関スロープの設置,居室内の段差解消,トイレ及び浴室への動線確保などのリフォーム工事費用について,賠償が認められることが多いです。 新築工事費用又は転居費用と従前家賃との 続きを読む >>
交通事故⑧ 将来介護費(付添費),将来治療費
1 将来介護費(付添費) ⑴ 必要性 自賠責保険の後遺障害に関して規定する自賠法施行令別表において,介護を必要とする後遺障害として規定されているのは,別表1(神経・精神系統の障害と胸腹部臓器の障害について規定する表)の1級(常時の介護が必要な程度の障害)と2級(随時の介護が必要な程度の障害)のみです。 しかし,これらの等級以外にも,別表2の1級と2級については,一般的に将来介護費 続きを読む >>
交通事故⑦ 労働能力喪失期間
1 労働能力喪失期間 後遺障害が認定されるということは,働く能力が一定割合で失われたと評価されるということですが(交通事故⑥「後遺障害逸失利益」の記事参照),働く能力が失われたと評価される期間はどの程度になるのでしょうか。 この,労働能力が失われたと評価される期間のことを,「労働能力喪失期間」といいます。 2 原則 後遺障害とは,治療によっても症状の改善が認められない段階に 続きを読む >>