コラム
業務中の交通事故の賠償金、会社に求償できる?
1 民法715条1項は,「ある事業のために他人を使用する者は,被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」として,いわゆる「使用者責任」を定めています。例えば,トラック運転手が業務として運転中に起こした交通事故について,事故の被害者は,運転手本人だけでなく,その雇い主である会社に対しても損害賠償ができるという意味です。 2 この規定によれば,以下の2つの問題が生じ 続きを読む >>
示談交渉成立後に後遺症が発覚した場合
交通事故に遭い,相手方(保険会社)と示談が成立した後に,予想できなかった後遺障害を発症した場合,その後遺障害に関する損害賠償を求めることができるのでしょうか。 通常,保険会社と示談交渉をする場合,保険会社としては事件の終局解決の趣旨で,清算条項(被害者と加害者は,お互いに債権債務を有していないことを確認する条項)もしくは,権利放棄条項(被害者は示談交渉で決まった内容以上の損害賠償を請求しな 続きを読む >>
通院交通費
治療のため通院した際にかかった交通費を請求する場合、どれだけのものが認められるのでしょうか。 原則として、バスや電車等の公共交通機関を利用した場合の料金となります。病院までの往復に要する料金に通院日数をかけて算出します。 自家用車を利用して通院した場合には、ガソリン代や駐車場代などの実費相当額が認められます。ガソリン代は概ね1㎞あたり15円で計算されています。高速道路を利用した場合、そ 続きを読む >>
交通事故の自覚症状と他覚症状
交通事故の後遺障害の認定をしてもらう際に,医療機関の所見(診察した医師による判断や意見。)が必要になりますが,所見は大きく分けて自覚症状と他覚症状に区別されます。 自覚症状とは,体の痛み,痺れのように,被害者がご自身で感じている症状を言います。この自覚症状を他覚所見(医師が視診,触診や画像診断などによって症状を裏付けることができるもの)で裏付けることが後遺障害等級認定上重要となってきます。 続きを読む >>
交通事故の治療中にまた交通事故に遭ってしまったら?
交通事故に遭い、数か月治療していたところ、また別の交通事故に遭ってしまって症状がさらに悪化してしまったり、治療が長引いてしまうというケースが稀にあります。 この場合、被害者としては、二つの事故の加害者に対してどのような請求ができるのでしょうか。 先に起きた事故を第1事故、その後の事故を第2事故として説明します。 まず、第2事故の発生の時点で、第1事故の任意保険会社の対応は打ち切ら 続きを読む >>
物損事故の場合は慰謝料が認められない?
法律上そのような規定があるわけではありませんが、基本的には物損のみの場合、慰謝料は認められません。 裁判例では、財産上の損害が賠償されれば、同時に精神的苦痛も慰謝されたとみられるから、別途慰謝料を認めることはできないとされていることがほとんどです。 慰謝料が認められる例外的な事案としては、墓石を倒壊させられた事案や被害者が制作した陶芸品が損壊された事案などがあります。これは、被害品が被 続きを読む >>
生活保護と交通事故ー医療扶助相当額の返還についてー
1 医療扶助相当額は損害に含まれるのか 生活保護利用者が交通事故によって損害賠償金を受領した場合,治療に要した医療扶助相当額を保護課に返還しなければならないのであれば,当該医療扶助相当額は事故による損害といえますが,返還の必要がなければ損害とはいえません。 この点,過去の裁判例上(奈良地裁昭和50年3月31日判決,大阪地裁昭和60年5月24日判決)も厚生労働省の見解も医療扶助相当額につ 続きを読む >>
相手方から人身事故扱いしないでほしいと言われたら?
交通事故にあったときに、相手方から保険で賠償するので人身事故扱いにしないでほしいといわれることがあります。 人身事故扱いにしない場合にはどのようなデメリットがあるでしょうか。 デメリットの一つは、人身事故としての交通事故証明書を取得できないことです。 自賠責請求や任意保険会社への請求手続においては原則として交通事故証明書の提出を求められます。そこで、人身事故の交通事故証明書を提出 続きを読む >>
自賠責による病院代直接払
過失割合に争いがあり、保険会社から治療費の支払いがされないため、病院から請求を受けているので困っているとの相談をお受けしました。 一般には、病院が加害者の保険会社に直接請求して支払を受けるものですが、本件のように過失割合や事故状況に争いがあるケースでは、このような状況が生じることがあります。 そんなときは、自賠責保険を利用するのがよいでしょう。自賠責保険には、被害者が請求すれば、病院に 続きを読む >>
死亡事故における慰謝料請求
1 はじめに 交通死亡事故が起きたときに,慰謝料を請求することが出来るのは,被害者とどういった関係にある人なのでしょうか。 ここでは,①亡くなった被害者自身の慰謝料請求権を相続した相続人が請求する場合と,②被害者と近しい立場にあった人が,独自に慰謝料を請求する場合に分けて説明します。 2 被害者の慰謝料請求権の相続 交通死亡事故が起こった場合,被害者本人 続きを読む >>